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いずも1/2

作者が腕をヘシ折って文字通り一時断筆していた「常住戦陣!ムシブギョー」がめでたく復活した事でおなじみ
(本当におめでとうございます。そして復活早々の火鉢さんのお風呂シーンマジゴチ)
週刊少年サンデーの中堅「国崎出雲の事情」の新刊にドラマCDが付いている。
見るだに吹いてしまうほどの豪華キャストで、次のサンデーアニメ枠はこれなのかなーとか。
・出雲きゅん=みゆきち
・紗英=岸尾
・玄衛=悠木碧
・梅樹=谷山のアニキ
・松樹=グリリバ
・加賀斗=サイガー
・柚葉=キタエリ
・先生=画伯
とかもうね。菅原兄弟が特にヤバイです。
アニキのカッコイイ声で絡まれつつグリリバボイスで「おいメイド」とか冷ややかに呼ばれるなんて
男の俺も思わずエリザベス・ジュンコ化して人の歯をボリボリ食いたくなるレベル。
しかし紗英=トゥエンティ=杉並と、岸尾さんは順調に変態というかカオス声優への道を突っ走ってるなあ。

話は戻って、サンデーはもともと他に比べて派手にアニメ企画を進行させる方ではないですが、
一旦アニメ化すると息が長く、そこそこ大団円の内に終了して原作がその人気をブースターにして
より長命になり、良い意味で原作がちゃんとメディアミックスの頂点に君臨させるタイプなので、出雲きゅんも
そうやって育てていくことにした、その格を認められる実績が培われたのかなと。地味に初回から読んでいる
身としても嬉しく、今回のドラマCDを期に全巻揃えてアニメ化を待ってみようかなーとも。
ぶっちゃけ一部忘れてる設定もあったりするし。
ここまで書いて興が乗ってきたので、出雲きゅんという作品についてちょっと分析してみようと思います。
 
芸能界という華やかな舞台を題材にしつつも、派手とは呼びがたい内容のこの作品が何故ここまで安定して
連載を続けてこられたのか。それはひとえに派手ではないことの良さを作者が理解しており、作品を通じて
そのアピールに余念がなかった事にあるのではないかと。

主人公の出雲きゅんは「こんなに可愛い子が男の子のはずがない」を地で行く天下無双の男の娘。
対して「だがそれがいい」を地で行く父親を主とした歌舞伎の世界に反発し、男らしさを望んでいる。
アイマスの涼ちんや、亜種としては早乙女乱馬に見られる「女に見られるからこそ男らしくなりたい」を
テーマとしています。気が強くけんか腰になりやすい性格を見ても、乱馬とよく似ていると言えそうです。
また一座の御曹司という立場ですが、近年大抵の作品で大コミューンの中心人物が主人公になると
「やれば超すごいのに四の五の言ってやらない」天才肌が多い中、出雲きゅんは女形に相応しい天性の美貌は
あるものの、稽古をサボっていた事もあり役者としての実力は並の上というところ。
男らしさを目指しながら腕っ節は大したことなく、実はオバケが怖いという弱さも完備。
本作において、この何ともいえない中途半端なスペックが後々生きてきます。
またワガママ言って一旦家を飛び出したわりに、実は傾きかけていた一座の興業を目の当たりにすると
ちょっとだけ親に折れて歌舞伎の出演を承諾したり、タチの悪い奴を見かけると物申さずにはいられない
ツンデレ気味な面倒見のよさがあり、皆に好かれています。そして反発で家を飛び出すほどの跳ねっかえりで
ありながらも、相手のすごさや度量はケチや僻みをつけずに認める素直さもある。
うん、実に素晴らしいヒロインぶり。

本作はそんな萌える出雲きゅんが通う学園の芸能科が舞台。
通う者たちの中には役者にアイドルと華やかなものが多い反面、そうした者たちがステージから離れて
別のコミューンに組み込まれる事で、他人に見せてはならない陰の部分が覗くようになります。
本作はそんな芸能人たちに出雲きゅんが体当たりでぶつかり、陰を取り除いて絆を育んでいく学園コメディ。

さて本題。
歌舞伎の要素が「別に歌舞伎じゃなくてもよくね?」と思えるような必然性レベルで欠けており、芸能界を
舞台にした作品としてもその描写が薄いせいで、他と比べて鮮やかさ・インパクトに欠けるという弱点を
持っている本作ですが、反面「特殊な立場に立つ少年少女たちの微妙な疲弊」に関しては
テンプレ気味ではあるものの丁寧に掘り下げ、「単にワガママな天狗」「俺SUGEEEEなガキ」ではなく
「同情してしまう悪役」として成立させてきています。そんな彼らの事情を解き明かした出雲きゅんが
歌舞伎役者として自分の舞台をがんばる姿を見せる事で、彼らを改心させていく。
(時々相手方の舞台に出張っていく事もありますが)
とまぁ、並べ立てて見ると実に古典的な内容だったりするのです。

とはいえ、古典が並べて悪しきという事はないのです。
近年「厨二」のくくりで呼ばれるハイレベルな能力者バトルものや、個人の思惑・感情で世界が左右される
くらいの壮大なSF・ファンタジー作品が幅を利かせてきたためか
「何事もピーキーでないものは古い=ダサい=つまらない」という認識がだいぶ浸透してきました。
古くさいという事は今の主流から外れていることであり、見方を変えれば本来の実力・持ち味が評価される前に
切り捨てられている
とも取れます。

ではその古くさい出雲きゅんの活躍がどうして今評価を得られるのか。どこが評価されてるのか。
主に次のようにまとめてみました。

・根っからの悪役がいない上に彼らが心を開いて改心していく事で、作品が清々しい雰囲気を纏っている
厨二作品によくある事ですが、絶対悪的なキャラクターが壮大なようで独善的な思想をひけらかしたり、
救いようのない悪辣な理由で他人に害を及ぼしたりなど、一般的な理解の及びがたいor嫌悪感しか沸かない
方向付けが為された時、作品世界の歪みに気付いて辟易した受け手が作品を通じて作者へのアンチを決め込んだり
する事が間々あります。
そんな中、出雲きゅんと彼女を取り巻く面々は納得に足る美しいor醜い人間性を公平に抱えており、
それが主張したり変節したところで、全てが一般的な理解の及ぶ範囲で動くため、毛嫌いの余地が付きにくい。
悪く言えば良い子ちゃんぶった八方美人な世界でもあり、その辺が強烈に人をひきつけるインパクトを育てない
原因の一つでもありますが。

・決して上から目線にならないしなれない出雲きゅんマジ最高
そんな悪役たちと対峙する出雲きゅん。芸事を主に、色々なコンタクトで対決します。
ここで作品と歯車が噛み合ってくるのが出雲きゅんのスペックと性格。
前述のとおり微妙なスペックと虚勢の強い性格ゆえに、まず思い知らされるのは相手のすごさ。
それを認めたが故に感じる「あいつ、もったいねーな」の気持ち。
そうなると面倒見スキルが黙ってはいられず、前向きにさせたくなる。
そして自分にできる共通のスキルである芸事でアピールする。
だがハナから実力が相手に及ぶわけではなく、相手の心を推し量りつつちゃんと稽古し、演技する。
その結果今までにない自分の晴れ姿を作り出して「がんばる事で花開く瞬間がある」と相手に伝えきる。
まさにお芝居の稽古と舞台のように、クライマックスに向けて周囲との関係や出雲きゅんの心情・腕前が
集約されるようスパートが掛かっていく。この辺の構成がシリーズごとに、新人作家離れして実に巧みなのです。
この流れにおいてもし出雲きゅんがこのとおりの性格でなければ破綻してしまうでしょう。
歌舞伎の腕前がハイスペックであれば「お前はできるからいいじゃん、むしろ他人にかまってるヒマないだろ」
と鼻についてしまう。
傲慢な性格であれば「お前みたいのに言われても」とやはり鼻についてしまう。
相手の度量を認められない子なら「単に自分の力で相手を折っただけ」になってしまう。
微妙な技量で真っ直ぐがんばり、納得のいく大成功を収めた出雲きゅんのドヤ顔にこそ悪役は改心し、
俺らは「出雲きゅんの歯ボリボリしたいブヒィィィ!」とジュンコさんになれるわけです。
この辺の類例で一番分かりやすいのは、最近だと「花咲くいろは」の緒花ちゃんかなーと。
アホで半人前だけどとにかくぼんぼる彼女を亀甲縛りにしたい次郎丸さんことお前らは少なくなかったはず。

・何より出雲きゅんが可愛い
やはりココが大事。特に言うなら、美人とか愛らしいとかエロいとか、特定の性質に突っ走っておらず
良くも悪くも地顔の可愛さで勝負してくる、淡白な絵柄が功を奏しているのではないでしょうか。
もともとひらかわあや先生の絵柄自体がここ最近の少年誌では見かけない、少女漫画に男性系同人のエッセンスを
足したような「微萌え」な絵柄だったのが助けになってるかなと。抜擢した編集さんはいい目をしているな。

とまぁ、これで本作の持ち味は理解できたかと思います。
じゃあなんでコレが受けてるのよと言うと、持ち味を品質を落とさずに手堅く提供する安心感の他に
厨二作者のとんがった思想や狭量な善悪論、ゲップが出るほどのお色気路線などに疲れた現代市場の住人が
無意識に癒しを感じられる
点もあるんじゃないかと。
サンデー読者はもちろん、本作を熱く支持している人の中で「コレがブッチギリで漫画史上最高!」などと
思っている人はごく少ないかと思います。自分の趣味嗜好に合致した現代的な作品をたしなむ中で、ふと
本作を読んで脂っこくなった脳の感動受容体をリフレッシュさせている人が大多数なんじゃないかな。
たとえが下品だけどラーメン屋とか床屋に置いてあると捗るタイプの作品。
(逆に退屈なイメージのある図書館や病院にとあるとかジャンプ作品とか置いてあるとまぁ捗る捗る)

単行本1冊くらいで1エピ完結する形式も読みやすく、新規参入が増えればいいなーとか。
しかしこんだけ書けてしまうとは思っても見なかった。どんだけ出雲きゅんペロリストなんだよ俺。
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